偽恋人の恋愛事情



そうです

今彼が言ったとおり、明日から夏休みです!

だから夜更かしです!


バタバタしているうちにそんな時期になっていたのだ

私と楓くんは偽物の恋人を初めて、もうすぐ2ヶ月になる

最近、なんとかこの生活に慣れてきて

楓くんと2人だという事を実感できるようになってしまったのでちょっと大型休みは不安もある

まあ、そうはいってもやってみるしかないけど



それにしても

「夜更かしって楽しいですね」

「まだ21時だから夜更かしの域じゃないけどね」

へぇ21時は夜更かしの域ではないのか


決まった時間の味を感じない夕飯も

あまり音を立てないように行き来しなければならないリビングも

成績にうるさい父親も、私を見下す兄も

勉強することがなくなって、何もしない退屈な時間も

ここにはないんだ


なんだか不思議な気分になって頬が緩む


「それはどんな顔?」

ゲームのリモコンを持つ私の顔を覗き込む楓くん

「…知らないことを知った時の顔です」


「じゃあここにいる間はその顔ばっかになりそうだね」

「え?」

「いっぱい教えてあげるよ。雪音の知らない楽しいこと」



優しく、本当に優しく笑う


また、胸が苦しくなる


「ありがとう。楽しみ」

同じように精一杯の優しい顔で返した

「…」