「雪音さんはとても強いお方ですが、それでもまだ20歳にも満たない高校生です。子供の時から、まるで機械のように教え込まれたことを淡々とこなし、意見することもできず…窮屈そうになさっていたのを、私は長らく見ていたつもりです」
俯いていた私の顔を覗き込むように、少し屈んで
まるで母のような温かい手を私の頭に乗せる
「たまには自由に、自分に正直になることも大切です。人間は脆い生き物です。あまり押さえつけられるといつかネジが壊れてしまいます。そして壊れたネジは2度と戻せません。そのネジは感情というものです」
感情…
「私は、雪音さんに楽しいことや嬉しいこと、はたまた寂しいことやイラつくこと、そういった様々な感情を大切にしてほしいと思っています。
昨夜は、ご自分の思うように意見し、思うように飛び出して行かれたのでしょう?」
「…我慢できなくて」
「いいんですよ」
乗っかっていた高見さんの手が優しく動いた
こんな歳にもなって頭を撫でられるなんてとは思ったが
心地よかった
「雪音さんと晃さんの携帯にはGPS機能がついていて、昨夜雪音さんがお友達の家にいかれたことを把握しておりましたので、すぐに連れ戻すということはしませんでした」
友達というか
「彼氏です」
楓くんが横からそう言った
「彼氏様でしたね」
高見さんは、ふふと軽く笑って楓くんを見た


