偽恋人の恋愛事情




「初めまして、雪音さんの家で家政婦を務めております、高見です」

「どうも」

「あの、高見さん?どうしたんですか」

血相変えて走ってきたけど

「あ!そうですね!本題を忘れるところでした」

嘘やん



「昨日のお話、晃さんからお伺いしました」



真面目な顔になってそう言う

ぎゅっと手に力が入る

その片手は楓くんと繋がっていたので、力の入った私の手を握り返してくれた


「実は昨日の夜、雪音さんが出て行かれてからお呼び出しがあったんです」

え?

「急いで駆けつけたんですが、お父様は食卓で硬直してまして…
おそらく私が着いた頃は、もう雪音さんが出て行かれてからだいぶ時間が経っていたとは思うのですが」


硬直してたの?

追いかけもしないで?

そんなにびっくりすることだった?

私を圧迫していた自覚がなかったのかしらね


「探しに行くよう言われたんです」



高見さんが?


「本当は雪音さん自身にご連絡するべきだとは思ったのですが」



「雪音さんが、普段からお父様やお兄様に圧迫されて、ため込んでいらっしゃるのは存じ上げておりましたので。ここで無理に連れ戻すのもどうかと思ったんです」