偽恋人の恋愛事情



「雪音さん!」

…え?


私の行く方の道からそんな声が聞こえた

聞き覚えのある女性の声


「た、高見さん?」

駆け足でこちらに走ってきたのは家政婦の高見さんだった

はぁはぁと肩で息をしながら私の前で膝に手をついている


「ど、どうしたんですか!」

「昨日っ…はぁはぁ夕食の時にっ、家を出て行かれたと…聞いていたのでっ」



「父にですか?」

「はぁはぁ」

あ、ああえっと

「とりあえず落ち着いてください」


高見さんは胸を押さえて呼吸を整えている

「知り合い?」

手を繋いだままの楓くんが聞いた

「はい。家政婦の高見さんです」

「家政婦さんか」



「雪音さん」

呼吸を整えた高見さんが私を見る

と、まあ手を繋いでいたのでそのままの流れで隣の楓くんも見る

「あ、えっと」

高見さんが困惑して目を泳がせる

「初めまして。雪音さんとお付き合いをしている鈴本楓です」


…?

楓くんを見て目を丸くする高見さん

そのまま固まってしまった

あー…

「高見、さん?」


「あら!あらあら!まあまあ!恋人ができたと言うのは本当だったんですね!」

え?

「晃さんの方からお伺いしてました!でもまさかこんな…あらまぁ!イケメンさんだとは!」

あー…兄さんが言ったのか