「ええ、父親です。うちは父子家庭なので母はいません。家の名誉や評価にしか興味のない父親にそう教えられてきたんです」
牢獄のような家で
それだけを求められ続けたんです
「俺と逆だね」
…え?
フェンスを足で突きながら、佐賀くんが空を見上げる
「俺ん家は母子家庭。と言っても母親もほとんど家にいない人だから逆になーんにも言われてこなかった。あの人は俺に興味ないんだよ、微塵もね。一人暮らしみたいなもん」
…
こっちを見た佐賀くんと目が合う
そうか
だから彼から自分に似た波長を感じたんだ
「俺たち似たもの同士だね」
…
「そう、ですね」
同意した私を見て
少しだけ…ほんの少しだけ、佐賀くんの綺麗な顔に不気味な笑顔が浮かんだ気がした
「このこと、楓は知ってんの?」
え?
少しの沈黙をおいて佐賀くんが言った
まあ…色々あったからね
「知ってますよ」
むしろ、楓くんに話すことができたから今貴方にも話せたんだ
声に出したのは、誰かに言ったのは貴方達が初めてだけど
少しだけ、軽くなったような気がした
「……あそ」
ん?
急に不機嫌になった気がする
「どうしたんですか」
「…別に」
えぇ、そんな顔して別にと言われても…
なんか不機嫌から怖い顔になっていくんだけど
「会長」
?
「俺はさ、あんただから話したんだよ」
え
「あんたならわかってくれる、あんたなら俺を受け入れてくれると思って」
…やっぱり
たまに、佐賀くんの雰囲気が変わる時がある
…かなり、不気味に
「そう、ですか」


