偽恋人の恋愛事情



あれ、そういえば

「佐賀くんはなんでここにいたんですか?」

「特に意味はないけど、来たかったから」

へー
変なの

「会長こそなんで」

え、えっと

「考え事してたらここまで来てました」

「まじ?無意識ってこと?」

「おそらく」

「怖いねぇ」

「怖いですね」


周りが見えなくなるくらい、考えてたんだ

楓くんのこと


「求めてたのかもよ?」

え?

「開放感的なのを。屋上って開放的じゃん。天井ないし、窮屈な校舎の外だし。無意識ってことは求めてたのかもしれないよ」



「そうかも、しれませんね」


窮屈なのは嫌いだ

だからあの家も、嫌いだ



「ラッキーだったな」



「朝から会長に会えるなんて」

「なんですかそれ」

「…」

すごく視線を感じる

こんなとこ来なくてもこの人は常に解放されているようなもんじゃないか


でも

なんだか暗い表情をしている気がする

いつもの気さくな、おちゃらけた雰囲気ではない

特に意味はないと彼は言ったけど、何かあったのかもしれない


「…何かあったんですか?」

こういう時は触れない方がいいパターンもあるけど
気になったので聞いた

「…んー?なんで?」

「なんとなくです」


今の彼は

なんとなく、私に似ている気がしたのだ