僕だって、あの日の彼女を見ていなければ気づかなかったであろう。 彼女がああして堕ちそうになった時⎯⎯ 引き上げられる距離に… いや、隣にいさせてくれればそれでいい。 "十分深望みだ" なんて言われたってどうでもいい。 もう彼女は僕の一部なんだ。 彼女がいなきゃ、僕の世界は色なしのままだったんだ。 彼女に出会って、僕の心は救われた。 だから今度は、僕が彼女を深い闇の底から連れ出すんだよ。 ⎯⎯⎯深く淀(よど)む欲を孕んだ夜空色の瞳が 瑠花を見つめたまま離さないのであった。