「わ、分かったよ! 避けない…けどごめん…。
私、付き合ったり、恋愛はしないって決めてるの。
だから、この先応えられることは…無いと思う」



そう言いながら、応えられないくせにキスをしてしまった罪悪感が押し寄せる。


今までの鮮やかさが幻想だったかのように

目に映る景色がどんどん色()せる喪失感を感じて

思考が沈み始めていると⎯⎯⎯



「瑠花! こっちを見て」


私の肩を揺らし呼びかける理斗に、沈みかけた意識が引き上げられる。



「…ねぇ瑠花、どうしてそんな風に決めてるの?」



臆病な私はそれに答えられず黙り込んでしまうと…


逆に理斗がカミングアウトをした。



「実は僕の家、ちょっと複雑な家庭なんだ。
……僕の話聞いてくれる?」



聞いていいもなのかと戸惑いながらもコクっと頷くと

理斗は 「ありがとう」 と微笑んでゆっくり話し始めた。