そんな彼の優しさが胸に染みて、不覚にも涙がこぼれてしまった。

見られないようにさっと俯き頬をぬぐう。



⎯⎯⎯救助を待っている間

彼は落ち着かせるように優しく背中をさすってくれた。


林の中独特の静寂と涼しい空気に、

彼の暖かい温度が心地よくて意識が落ちそうになった。


彼の腕中はこんなに落ち着く。


さっきまでの恐怖がまるで嘘だったかのように⎯⎯⎯。




しばらくすると救助が来てくれたのか、上が騒がしくなった。



「救助が来たみたいだね。 瑠花、立てる?」


と言って彼が手を貸してくれ、

腕と腰を支えられながらゆっくりと立ち上がる。



垂らされたロープで彼に支えられながらもゆっくりと引き上げてもらった。