決して足の早くはない美咲ちゃん。
それでも全力で私の方へと走ってくる。
後ろから他チームがどんどん迫ってくる。


「ニカ先輩!!」


美咲ちゃんの声が聞こえる。

私は走りだす。


右手に美咲ちゃんからバトンが渡される。


「先輩いけーー!!!」


美咲ちゃんのその声が、私の背中を押す。

後ろからたくさんの足音が、どんどん近づいてくる。



(む、むり…!)



真横に、後ろにいたはずの走者がいるのがわかる。
私はとにかく必死に腕を振る。


「ニカ先輩!!」
「須藤さーん!!」
「行けるぞー!」



みんなの声援が聞こえる。



果たして、どうなったのか。


私は前傾姿勢のまま、目の前のゴールテープに突っ込んだ。
そしてその場に倒れ込んだ。