「じゃあ、チャイムなったので戻りましょう。にっちゃん先輩!」
「またね、美咲ちゃん。」
憂鬱になるはずだった今日のお昼休みは、美咲ちゃんの知らなかった1面が知れて、そして距離が近くなったのだった。
教室へ戻ると、悪びれないの無い様子のナナミがいつも通り、私の前の席に座っていた。
私が自分の席に着くと、いつも通りのテンションで後ろを振り返って私に話しかけてくる。
「お昼いなくてびっくりしたんだけど!1人だから南ちゃんたちのところに無理矢理入れさせてもらったんだから!お弁当たべるのっ!」
なぜ私がそんなこと言われなきゃ行けないの。
私の意見聞かず体育祭の種目押し付けて、他の子達に夢中で私のことなんて、まるで存在が無いみたいに扱って。
堪忍袋の緒が切れてしまいそうだったけど、ここは教室。
怒鳴り散らしかしたい気分だったけど気持ちをぐっと押し殺して、私は言う。
「そうだったんだ。大変だったね。」
無表情。無感情。
言葉は棒読み。まるでロボットみたいに。
自分に自分がビックリするくらい、"無"になっていた。
「何かあった?ニカ」
「ううん。何も無いよ。」
タイミングよく授業開始のチャイムが鳴り、先生が教室の中へと入ってくる。
後ろを振り向いていたナナミは慌てて前を向き直す。



