「須藤さんはバラしたりしないと思うから、特別に!」

それはとあるアニメの台本。
その中のキャスト名のところに、ん?

「安在さんは…」
「これです!」

安在さんが指を指したところには『姫桃 美咲(ヒメト ミサキ)』と書かれてある。

「仮所属してる事務所の社長が私のイメージでつけてくれたんです!」

確かに、姫(ヒメ)と桃(モモ)。
安在さんのイメージにぴったりだ。

「可愛い名前ですね!」
「須藤さんにそう言ってもらえて嬉しいです!」

本当に嬉しそうな顔を見せる安在さん。

「今回は挿入歌も歌わせていただけることになって!」
「そーにゅーか…」


全く無知な私に安在さんは丁寧に説明してくれる。

「ドラマとか映画とかでも、途中に音楽とか入っているじゃないですか?そんな感じです!」
「じゃあ、安在さんは歌手も出来るみたいですね」
「まぁ、そういう感じかもしれないです!」

それだからか、さっき聴いた歌声はいつもと違う感じがしたのかな…


「それより、須藤さん。」


改まった様に安在さんは少し上目遣いで私を見る。
何をお願いされるのだろう…
なんとなく嫌な予感がしてしまう…