「未来の花嫁の、悲しむ顔なんて見たくありません僕は」
「スビン、君はなんて良い子なんだ…君が後継者なんて誇らしいよ…」

私の事を本気なのか。会社のためなのか。何なのか。
彼は頭が切れるし、表面を繕っているところしかいつも見せないから本心が読めない。

「話は明日にしよう。夜も遅い。私は寝る。」

スビンに宥められてお父様は寝室へと向かった。

私は言葉を発さず自分の部屋に向かい、しっかりと鍵をかけた。



さっきまでの幸せな時間が、本当に夢のよう。
バッグの中に入っていた、さっきまで付けていたうさぎのカチューシャを見つめる。
楽しかった全ての情景が私の中に思い出される。

(私が、私がこの家の子じゃなければ…)

思っても無駄なことを考えてしまった。
こんなことばかり。

現実に打ちひしがれていると、スマホに通知が1件。


(お母様…からだ…)


お母様は今回帰ってこなかった。
お父様がお母様をおいて1人で帰ってくることは確かにあった。
逆にお母様が1人で帰ってくることもあった。

でもお父様とスビン…


この2人だけで来ることは無かった。


私はお母様からのLIN○を開く。