午前4時。
お手伝いさんも寝ているし、夜間は人数自体が少ない。

『着いたよ』

LIN○が届く。
窓の下をみると、かなり下の方にナナミがいる。
家の門は開いていないから、昔こっそり抜け出したことのある秘密のルートを教えて敷地の中に入ってもらった。

私は私物のスカーフやタイ、長めのカーディガンを結んだものを下に投げる。

窓に足をかける。

ゴクリと息を飲む。

失敗したら大怪我してしまうかもしれない。


だけど、今はそんなことは言っていられない。


たくさんの布類を繋げたものをロープ替わりに、私は少し重くなったバッグを持ちながら、ゆっくりと地上へ向かって降りてゆく。

命綱なしでこんなことをするなんて、いつから私はこんな人間になったのだろう。


(あと、もう少し……)



ズルッ…



『だから、私行けなくなってしまったの。』

『抜け出せる方法とかないの…?』

『下まで降りられるとなると、…長い何かを窓から下ろして降りる、とか?鍵を開けたらバレてしまうし』

『私、じゃあ落ちた時、下で受け止めるよ』

『それでは、ナナミが怪我を…』

『私の運動神経舐めないでよね!チビ3人抱える力あるし、協力するよ』