「ナナミのおかげだよ」
「でも、あそこで決めた。あれはニカがやったこと。すごい!」

ナナミはそう言って、また私を褒めてくれる。

ナナミに、その笑顔を向けられると、私はいちばん嬉しい。


「ありがとう…!」


今日も笑えてる。

私の生きてるこの世界、どうか時が止まってほしい。







私への態度があの日から変わった。
クラスのみんなが、私と話してくれる。
どんどん、このクラスに溶け込んでいっている。

きっかけはあの瞬間。
たった一瞬だった。

私は何に怯えていたのだろう。
怖がっていたのだろう。


変わってしまった世界への戸惑いが無くならなかった。

眠れない。


『お前がいなければっ!!!』


やめて……



私は耳を塞ぐ。

時計の針が動く。


広くて暗い部屋。


嫌、嫌っ…



ベッドの上で体を縮こませる。

誕生日。

嫌な思い出が詰まった、最悪の日。




ピロンッ。





スマホが光る。

夜遅くに誰だ……


思い切り手を伸ばし、離れた場所に置いていたスマホを取る。



「えっ…」



この人は、私の世界を、全てを。

どれだけ変えてくれるんだろう。