後ろからみんなが走ってくる足音が聞こえる。

(えいっ…!!)


よく分からず、焦ってハンドボールのような投げ方をしてしまった。

(やばい、やっちゃった…)


ポスッ…



ピーッ


「はい、志崎のチームの勝ちなー。ほら時間ないからこのまま片付け入れー」


「まじかー!」
「須藤さん、すごい」
「やるなぁ…」


え。


「ニカ!凄いよー!」

ナナミが駆け寄ってくる。
一緒のチームの子も、私のそばに集まってくる。

何が起こったのか分からなくて、私は固まってしまう。


「須藤さん、ありがとう!」
「やったぁ片付け回避!」


私のシュート、入ったんだ…


人生で1回も入ったこと無かった。

え、


「嬉しい…」


「もぉ!ニカ可愛い!!」

ナナミが私の頭を、まるで犬とか小動物とかを撫でるみたいに撫でる。


「須藤さん、さっき凄かったねー」
「須藤さんあんまり話したこと無かったから、すごい子なんだね。」

着替えが終わり教室に戻ると、周りの生徒がまるで別人かのように私のことを話していた。

今まで私を変人かのように見てきた人達なのに。


「ニカ、やるじゃん!」

自分の席に座り、後ろを振り返って私を見てガッツポーズをナナミはした。