「そうなのですね」

こんな私に会いたい、と…

思ってくれる人もいるのですね。


「ていうか、いつまで『さん』付けで呼ぶの?」

私の肩にナナミさんの指がツンッと触れた。
私はナナミさんの方を向く。

晴れ渡る空、

ナナミさんに似合ってる。

「いい加減、名前しっかり呼んで欲しいなぁー、ん?」

ナナミさんは少し首を傾げる。
私はなんとなく、察した。


「ナナミ…」

「よしっ!やっと呼んでくれた~!」
「ナナ、…!」

道の途中だというのに、急に抱きつかれる。

「恥ずかしい、は、離れ…」
「じゃあ、手。」

普通に横を車が通り過ぎていく。

誰かに抱きしめられたことは初めてだった。
きっとあったとしても、記憶のない頃のこと。

ナナミはそっと私の手をとり、私の指と指の間に、ナナミの指を入れる。
不思議な繋ぎ方だ。

「知ってる?この繋ぎ方、恋人繋ぎって言うんだよ」
「恋人!?」

私は思わず繋いでいた手を離そうとするが、指同士がしっかり合わさっているので、解けなかった。


「ニカは好きな人とか、いるの?」


好きな、人。

真っ先に思い浮かんだのは…



「ナナミとナナミの家族!」


「ぷはっ…、ニカ面白いなぁ」