床についていた私の手の上に、ニカの手が重なる。


「会うのが怖くて、怖くて…こんなに遅くなっちゃった。」


顔を横に向ける。
涙を見せないように顔を背けている。

きっと言えないこともあるんだ。
なんとなく察した。
色んなことがあったんだと思う。

私よりも沢山悩んで、苦労して、今を生きてるんだ。


「ニカっ…」

私はその背中を抱きしめた。


「酔っ払ってんの…」

「違うっ」
「どうせ明日になったら忘れてるよ」

忘れることなんてないよ。


「さっき飲んだ、お酒の意味、分かる?」
「お酒って、意味とかあるの?」






ニカは振り返り、私の視界が一瞬で暗くなる。
押し倒されるような形で、私の体が倒れた。



「永遠にあなたのもの、だよっ」


視界が明るくなると、目の前にはニカの顔。
私の横にはニカの腕があって、身動きが取れない。


「いつからそんな、小悪魔になったの…」

「名前捨てて来たから、ナナミがいないと困るんだけど。」


そういえば、4月から同性婚が認められた。

つまり…



「永遠に、あなたの、も、の…」
「ナナミのものにしてよ」