*

 それから一ヶ月、美月が仕事から帰ってくと、涼から大きな箱を手渡された。

「美月、今日はこれを着て食事に行こう」

「あの……これは?」

「美月に似合うかなと思って……着てもらえる?」

 自分の部屋に入り、涼から手渡せれた箱を開けてみると中にはシャンパンゴールドの美しいドレスが入っていた。背中のチャックを降ろし足を入れると、布のサラリとした質感がとても心地よいドレスだった。ドレスを破いたり壊したりしないよう、ゆっくりと着用しファスナーを上げると、ピッタリと体にフィットするのにとても歩きやすいドレスに感動した。背中が大胆に開いているドレスだが、両肩から薄いレースが足首の部分まで伸び、花嫁のベールのようにヒラヒラとなびいている。

 これなら背中が開いていてもそんなに恥ずかしくないわ。

 それにビックリするほどピッタリ。

 思わずクルリとその場で回ってみると、鏡に中の自分もクルリと回転した。鏡の中の自分は美しいシャンパンゴールドのドレスを身につけ、お姫様のように艶やかに回る。マーメイドドレスの裾は回るたびにヒラヒラと広がり、魚のひれのように揺れている。

「綺麗……」

 ほうっと、美しいドレスに見惚れていると、部屋の扉がノックされた。

「美月大丈夫?着れた?」

 美月がゆっくりと扉を開くと、涼が満足そうに頷いた。

「うん。いいね。やっぱりこの色で正解だった。それにしても……」

「えっと……涼?」

「あーっ。こんな綺麗な美月を誰にも見せたくない。けど……行かないとだし……」

 涼が何やらブツブツと呟いているが、美月はほとんど聞き取ることが出来なかった。

「とりあえず美月行こうか」

 美月はエスコートされながら玄関を出た。