*
重い瞼をそっと開けると瞳に映るのは私の愛しい人だった。優しく大きな手で私の頭を撫でながら、こちらを覗き込んでいる。その覗き込んでいる瞳が心配で仕方が無いと、言葉にしなくても語っているようで嬉しくなった。
「美月起きた?大丈夫?体は痛くない?動ける?ごめん無理させたね」
私が答える前に、涼から疑問符の言葉が続く。それを聞いていると、昨日の事が鮮明に思い出されてきた。私は昨日初めてだというのに、涼に手によって何度も絶頂を迎え、気絶するまで涼の高ぶりを受け止め続けた。涼はそれを心配しているのだろう。
そんな顔をしなくても良いのに……。
私は大丈夫だと伝えたくて、撫でてくれていた涼の手を取り自分の頬に持っていく。それから努めて明るく笑った。幸せで仕方がないと言う思いを込めて笑うと、涼の時間だけが止まってしまったかのように動かなくなってしまった。そこから数秒後、涼が大袈裟に騒ぎ出した。
「うわーー!めちゃくちゃ可愛い。やっと俺の物になった。長かったー。美月が可愛すぎて死にそう」
「そんな大袈裟な」
「大袈裟じゃない。やっと俺の手の届く所まで来てくれたんだ。長かったー。うれしいに決まっている」
私の首元に顔埋めながら言う涼の頭をそっと撫でながら、幸せだなと思う。そんな幸せな時間が流れる中で涼が真剣な顔でこちらを見つめてきた。


