会社に入社して半年が過ぎた頃、大和さんに食事に誘われた。男性と二人きりの食事に美月は躊躇したが、大和からの誘いを断ることが出来なかった。
大和さんは悪い人ではないし……私も大和さんと食事に行きたい。
妹はここにはいないのだから大丈夫。
食事だけなら……そう思い、美月は大和と食事に出かけた。夜景の見える素敵なレストランへとやって来た美月は、緊張しながら回りを見渡す。大人の人達は本当にこういう所で食事をするんだなと呆けていると、大和さんに促されて席に着いた。すると大和さんがスマートに飲み物や食事を注文してくれて……出来る男は違うなと思いながら大和さんをボーッと見つめる。
「……さん……岡本さん?」
「えっ……はい」
「ボーッとしているね?食事適当に頼んじゃったけど大丈夫?」
「あっ、はい。大丈夫です。こんなに凄いレストランは初めてで緊張してしまって」
そんな俯き赤くなる美月を見つめ、大和の目が細められた。
「岡本さんは可愛いね」
かっ……かわいい……?
いつもは妹の智咲が言われる言葉。