*

 美月が仕事から帰ってくるとマンションの前で涼が、笑顔を綻ばせながら駆け寄ってきた。

 格好いいのに可愛いとか、最強かなと思う。

 こんな人と私が暮らしているなんて、今更ながらに驚きだ。

 涼の笑顔に引き込まれ、こちらまで自然と笑ってしまう。二人して笑っていると、突然手に持っていたエコバックが涼に奪われてしまった。

「重かったでしょう。持つよ」

「あっ……でも……」

「重たい荷物を持つのは男の仕事だよ」 

 そう言われれば、美月も何も言えない。

「ありがとう」

 美月はお礼を言って、また微笑む。

「どういたしまして」

 嬉しそうに涼が、マンションの中へと向かって歩き出した。

「ところで美月、今日の晩ご飯はなあに?」

「今日はハンバーグにしようかなと思ってるんだけど」

「やったー!ハンバーグ」