「美月、大丈夫だよ。起き上がるだけだから。ほら、おいで」
男性に体を引き上げられる。
ベッドの上にあぐらを掻くような形で座った男性の前に、美月はチョコンと座らせられた。そこで初めて美月は男性の顔を確認した。
この人は……。
男性の顔を確認した美月は、昨夜のことを思い出しながら目の前の顔を見つめた。ぼんやりとした記憶の中に浮かび上がるのは、ピアスの沢山付いた耳。柔らかそうなくせ毛の薄茶色の髪、二重の瞳は昨夜見たときにはキリッとしているように見えたが、今は優しく細められている。昨夜も思ったが目の前の男性の顔はとても整っていて、女性受けがとても良いのではないかと思った。
そんな事を思いながら男性の顔をマジマジと見つめていると、フイッと男性が顔を横に背けた。
どうしたのだろうと首を傾げる美月に、男性が慌てながらガウンを肩に掛けてくれた。美月は視線を自分の体へと下げていき、そこで自分の姿がかなり破廉恥なことになっていることに気づいた。美月は家では下着は着けずに寝る。今日もその流れで無意識に下着を脱いでしまったのだろう。そこまではいい、しかしいつもは下着を着ていなくてもきちんとパジャマを着ているのだが、今はブラウス一枚にパンツをはいた状態で、しかもブラウスの前は全て全開に開いていた。
自分でもエロッと思ってしまうような状況に、美月は声にならない悲鳴を上げ、ガウンの前を鷲づかみにした。真っ赤になりながら丸くなる美月の背中を男性がそっと撫でてくれた。
「さあ美月、そんな所で丸くなってないで、お腹すいたでしょう?朝ご飯にしよう」


