仕事サイボーグな私の恋愛事情~人生は物語のようには上手くいかない。それでも…また恋を始めても良いですか?


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 私達の前に大きく重たそうな扉が現れた。男性がグッと力を入れ扉が開かれると、マイクパホーマンスの時間だったのだろうか、沢山の人々の声と歓声が聞こえてきた。先ほどまでこの騒がしい音が聞こえなかったと言うことは、あの重たい扉は防音の為だったのだろう。しかしその騒音はまだ小さく聞こえてくる程度で、目の前に現れたガラス張りの綺麗な扉が開かれる。すると更に騒音が大きくなり、一歩前に踏み入れるとそこは、別世界だった。そこは外の明るいネオンの派手さとは違う、キラキラとした世界が広がっていた。

 フロアーの中央には大きなシャンデリアが輝き、その回りにもいくつものシャンデリアがキラキラと光を放っている。少し薄暗くなった店内で、シャンデリアの光がより一層輝いて見える。その下にはいくつにも区切られた空間があり、黒で統一された革張りの椅子とソファーが置かれ、ガラスのテーブルが配置されている。その区切られた空間の中で客である女性達が楽しそうに笑っていた。綺麗な顔をした男性達が、女性客を楽しませる。

 ここはホストクラブ、私が今までいた世界とはまるで違う場所。

 凄い……。