美月は真っ直ぐ両親の見つめた。

「そうでしたか。私の誕生祝いと言うわけではなかったのですね」

 私の言葉に両親がハッとしたようにこちらを見た。

 本当に忘れていたのだろう。

 ああ……情けない。こんな人達に期待していたなんて。

 全てがどうでも良くなった。

 美月は仕事用の笑顔を顔に貼り付けて、深く頭を下げると事務的にしゃべり始めた。

「家族水入らずの所、他人の私が水を差してしまったようで申し訳ありませんでした。邪魔者は消えますので楽しんで下さい。では、失礼いたします」

 美月はワザと敬語で話した。それは血の繋がった両親に接する態度では無いと分かっているが、自分の心を守るためにはこうするしか無かった。表情を変えずに話す美月に対し、両親が怪訝そうな表情を浮かべていた。そんな表情をしていても何も言わない両親。それが答えなのだと美月は悟った。

 美月は最後に深く頭を下げ、レストランの出口へと向かった。その間、もしかしたら引き留めてくれるのではないか?という、淡い期待を抱いてしまったが声は掛けられなかった。

 声など掛けられるわけが無いと、分かっていたのにやはり辛かった。

 期待しては失望するの繰り返し……。

 どうしていつもこんな展開になってしまうのだろう。

 美月は唇を強く噛みしめた。


 とことん私の物語は上手くいかない。