レストランスタッフにそう伝え、美月は智咲に近づいていきハッとする。物陰に隠れていて良く見えなかったが、智咲の前に両親がそろって座っていた。智咲がニコニコと話をすると、両親から笑い声が聞こえてくる。両親はレストランの入り口に対し背を向ける状態で座っているため私の姿は確認出来ないようだ。そのため楽しそうな会話が続く。
「智咲、今日はこんな高そうなお店を予約してくれてありがとうね。ママは嬉しいわ」
「ホントだな。私はお前を誇りに思うよ」
幸せそうに笑う両親の顔……。
そんな両親の顔が一瞬にして曇る。
「あの子にはガッカリさせられたから、智咲には期待しているのよ」
「まさかあんなことをしでかすとは……恥知らずが」
ガッカリ……。
恥知らず……。
私がいない所では、いつもそんな話をしているのね。
両親は今日が私の誕生日だということも忘れているのだろう。
呆然と立ち尽くす私に、レストランのスタッフが声を掛けてきた。
「お客様、大丈夫ですか?どうかされましたか?」
「あっ……いえ」
どうしようかと戸惑っていると、こちらに気づいた智咲が立ち上がった。
「お姉ちゃん!!」


