まるで台本でもあるかのように話が進む。
家でドラマでも見ているかのように、美月はボーッと大和を眺めていた。
すると泣きながらに訴える大和さんの肩を部長が軽く叩いた。
「もう間違えるなよ……」
部長は大和を諭すようにそう呟くと、私の方へと一度視線を向けるも、何も言わずに視線を逸らした。私の意見など聞く気が無いのだろう。それでも話を聞いてもらいたかった私は、小さく息を吸い込み言葉を口にした。
「部長……」
しかし部長は眉間に深い皺を作ると、右手を前に出し、美月の言葉を制した。喋るなと言うことなのだろう。
どうして……。
どうして皆、私の話を聞いてくれないの……。
体がカタカタと震え出す。
誰も私を見てくれない。
私を見てよ。
話を聞いてよ。
そう叫びたい。
叫びたいのに……喉から声は出てこなかった。
美月はゆっくりと開いていた口を閉じながら俯いた。それから部長は大和さんに部屋に残るようにと言い、私にはそのまま家に帰るよう指示された。その間部長と視線が交わることは無かった。


