「岡本さんが奥さんがいても良いから付き合って欲しいと、何度も誘われて……何度断ってもつきまとわれて……。あの日お酒を飲まされて、気づいた時には一線を越えていました……もしかしたら薬を盛られていたのかもしれません」
涙ながらに話をする大和の姿に唖然とした。何もかもがデタラメな話しだというのに、回りにいる人々が私に軽蔑の眼差しを向けてくる。私の中で何かがガラガラと崩れ去っていく音が聞こえた。それは私の心が壊れていく音だったのかもしれない。
唖然とする私の横で、大和さんを主人公とした観劇でも見せられているように話は進んでいく。そのうちに重役達の大和を見る目が次第に同情の物へと変わる。その反面、私に向けられる視線は更に厳しく冷たい物へと変わっていった。
一体何が起こっているのか分からない……。


