お前が悪いと言われれば、確かに私が悪い。不倫というこの関係を続けてしまった結果がこれなのだ。これは代償なのだろう。社会人にもなって父と母を悲しませ、頭を下げさせて……。会社にそのことがバレてしまった。両親へのいたたまれなさと、悲しみで胸がズキズキと痛む。
必死に涙を堪え、謝ろうとしたその時だった。
「お前に家の敷居はまたがせない!すぐにこの家から出て行け。親子の縁は切る!」
父の声がガツンと脳に響いた。
今なんて……?
父の声が何ども木霊《こだま》するように聞こえてくると言うのに、脳がその言葉を処理するのを拒んでいるのか、上手く理解が出来ない。何とか言葉を理解し父を見つめると、そこには眉間に皺を寄せ冷ややかにこちらに視線を向ける父の姿……それは私に対して見切りをつけたという感情を露わにしていた。


