仕事サイボーグな私の恋愛事情~人生は物語のようには上手くいかない。それでも…また恋を始めても良いですか?


 何も答えない私に、智咲が回りにワザと聞こえるよう、声を張り上げた。

「お姉ちゃんまさか、またこの人をだまそうとしているの?」

 えっ……。

「だってそうでしょう?お姉ちゃんは人を騙|《だま》すのが上手だもんね。会社の人を騙して不倫して、追い出されたお姉ちゃん。隣にいるその人は知っているの?」

 キャハハっと楽しそうに、笑いながら智咲がこちらを見た。

 そんな智咲の言葉を聞いた両親が、顔を引きつらせ青ざめながら私達の前に飛び出して来た。

「申し訳ありません。うちの美月がご迷惑をおかけして、この子はいつも人様に迷惑を掛けてばかりで……。昔は手の掛からない子だったのに、どうしてこうなってしまったのか……」

 母が涙ながらにそう語ると、その隣にいた父がこちらを睨みつけながら声を荒げた。
 
「これはもう、うちの娘ではない!」

 これ……。

 そう言ってこちらを見る父の目には、娘として私は映っていない。

 ああ……。

 そうだった。

 私はもう、この人達の娘では無かった。