すると沢山の人達に取り囲まれ、美月は声を掛けられた。美月は何をどう答えたら良いのか分からず、微笑みながらその場をやり過ごす。そんな中、一組の夫婦が我先にとやって来た。
「これはこれは涼さん。今度のデザインは本当に素晴らしいですわ。女性物のデザインはされないと言う話でしたのに、何か心境に変化でもありましたの?」
涼に笑顔で話しかけているのは、美月の記憶の奥底で眠っていた人物……。
その人物を見た途端、美月の心臓が大きくはね、体から血の気が引いていく。
この人達は……大和さんと奥さん。
二人は美月の存在に気づかない様子で、涼と楽しそうに会話をしている。
そこに新たな声の主がやって来る。
「何で!どうしてこんな所にお姉ちゃんがいるの?しかもそのドレス何?それにその隣の人は?!」
「智咲……どうして……」
智咲の後ろへと視線をずらすと、智咲だけでは無く、両親がこちらを驚いた様子で見つめていた。
「これはどういうこと?」


