それを聞き流し平静を保とうとするが、顔に集まった熱はなかなか引いてくれない。そんな美月に大和はワインのグラスを手渡してくれた。

「これはお勧めのワインなんだけど飲めるかな?」

 大和の手によって注がれた赤い液体を見つめてから、それを喉の奥に流し込む。

「美味しい」

「そう良かった」

 美月の様子を心配そうに眺めていた大和も、そう言ってからグラスに口を付けた。大和さんの様子からこちらを気遣ってくれている事が伝わってくる。申し訳なさからお詫びを言うと、大和さんが柔らかく笑った。その優しい笑顔に美月の緊張もほぐれていく。

 ああ……何て楽しくて幸せな時間なんだろう。

 そんなデートを繰り返していくうちに、美月は大人な大和にのめり込んでいく。

 私は……。

 この人が……。