「たしかにな。お!着いたぞー」
見慣れたスタジオに入るとスタッフが一斉にこちらを見る。
相変わらずだな〜
「渡瀬 李弥(-ワタセ リヤ-)役の恋でーす。よろしくお願いしまーす」
「れ、恋さん!」
「生恋様だぁ!」
「よろしく、恋くん」
意味わからないことをほざいているヤツが数名いるけど、ちゃんとしたヤツもいるから今回の現場はまぁまぁだな。
それにしても写真撮ろうとしてるヤツいるけど…
ほっとけばアイツが動くし、いいか。
「おい」
ドスの効いた声が部屋に響く。
ありゃりゃ、蘭斗が怒ってるー
蘭斗は人一倍マナーには厳しいからな〜。
かわいそー。
「写真はNGなんだが?聞いてねーのか?」
とても怖いお顔をしている蘭斗さん。
長年同じ現場で仕事をするスタッフですら顔が真っ青だ。
注意されてるヤツなんて足ガタガタな上に涙目になってるし……はぁ、仕方ねーな。



