瀬野先輩は高嶺の花を溺愛してもし足りない。

高嶺の花、なんて簡単な言葉で片づけないでいてくれる。


先輩は…。


「私には、友達なんていません」


気づいたらこぼれたその言葉は長年溜め込んできた不満であり、悲しみであり、


「…誰かと仲良くなるために努力したこともありません」



わがままだった。



分かっている。自分が一番分かっている。


他人に心を開こうとしていないから相手も私と交わらないことも。


そのくせ、自分を知って欲しいなんて独りよがりな考え方だからとっつきにくいってことも。


何でも一人でやろうとするから可愛げが無いことも。親近感が湧かないことも。


全部、全部分かっている。