瀬野先輩は高嶺の花を溺愛してもし足りない。

………腕の中…?


「!?」


驚いて見上げると、呆れたような顔をした瀬野先輩と目が合った。


「す、すみません!」


慌てて飛びのいて数歩距離をとる。


抱き寄せられていた感触がまだ体に残っていて顔が赤くなってしまう。


心臓もバクバク音を立てて静まる気配がない。


恥ずかしくて顔に集まった熱を逃がすべく手でパタパタとあおぐ。


普通の女の子ならこういう時どうしてるもんなの?余裕の笑みでお礼とか言っちゃうのが基本なの?


こんなことをしている間にも瀬野先輩は何故かジッとこちらを見ている。