瀬野先輩は高嶺の花を溺愛してもし足りない。

よりにもよって、なぜこのタイミング…!


転ぶのはいつものことにしろこの時ばかりは予想外。


受け身をとれないまま、迫るアスファルトをぼんやりと眺め苦笑した。


やだなあ…転んでも高嶺の花に手を差し伸べる人なんて誰もいないのに。





「はあ…お前、さっきから危なっかしすぎだろ」





ふいにガシッと腕をつかまれ前へと傾いていた身体は横へ移動する。


一度バランスを崩すと元には戻れず、そのままぽすんと腕の中におさまった。