「で、でも、先ほどの女性と、とても仲のよいご関係に見えました」
「ああ、ネムローズのことだね。あの子は私の母の親戚なんだ。領地で、ある騎士に恋をしたのだけれど、すぐに王宮へ戻ってしまったそうだ。それで泣きつかれて今夜の舞踏会に連れてきたんだ。もしかしたら警備として配置されているかもしれないし、また招待されているかもしれない。そうしたら見つけたようで、未婚の女性が自ら自己紹介なんてしたらはしたないと嫌われそうだからと、急いで私を引き連れて言ったという訳なんだ」
「まあ……そうでしたの」
本当にタイミングが悪かった、と肩を竦めるルイスにクロエは頬を緩める。
「それで、クロエを泣かしたのは誰?」
今なら言えるだろうと踏んだのか、ルイスは再び追求を始めた。
自分も言うべきだろう。クロエは扇を握りしめ、ありったけの勇気を籠め、告白した。
「ル、ルイス様です」
「私が?」
目を大きく開いて驚いているルイスに、クロエは言葉を繫いでいく。
「ネムローズ様と仲のいい様子を見て、わたくし……哀しくなってしまったのです。ルイス様のわたくしに向ける優しさは誰にでも向けるもので、わたくしだけではなかったのだと改めて思って……。ネムローズ様こそルイス様のお相手なのだと……」
「クロエ」
「ああ、ネムローズのことだね。あの子は私の母の親戚なんだ。領地で、ある騎士に恋をしたのだけれど、すぐに王宮へ戻ってしまったそうだ。それで泣きつかれて今夜の舞踏会に連れてきたんだ。もしかしたら警備として配置されているかもしれないし、また招待されているかもしれない。そうしたら見つけたようで、未婚の女性が自ら自己紹介なんてしたらはしたないと嫌われそうだからと、急いで私を引き連れて言ったという訳なんだ」
「まあ……そうでしたの」
本当にタイミングが悪かった、と肩を竦めるルイスにクロエは頬を緩める。
「それで、クロエを泣かしたのは誰?」
今なら言えるだろうと踏んだのか、ルイスは再び追求を始めた。
自分も言うべきだろう。クロエは扇を握りしめ、ありったけの勇気を籠め、告白した。
「ル、ルイス様です」
「私が?」
目を大きく開いて驚いているルイスに、クロエは言葉を繫いでいく。
「ネムローズ様と仲のいい様子を見て、わたくし……哀しくなってしまったのです。ルイス様のわたくしに向ける優しさは誰にでも向けるもので、わたくしだけではなかったのだと改めて思って……。ネムローズ様こそルイス様のお相手なのだと……」
「クロエ」


