祖母似の烏の濡れ羽色の髪と、この国で降ることのない雪という真っ白な肌は、賞賛に値するものだという。
しかし、一重の細い瞳とそれに見合うような小さな瞳に、低い鼻は顔を扁平に見せ印象が薄かった。
クロエは遠い東国の血を引いていた。
祖母が留学でこの国に来て、祖父と恋に落ちたのだ。
国交を結んでいた国同士なので、結婚はすんなり決まったと聞いている。
問題はその後。
祖母の国とこの国の礼儀作法は、天と地ほどの違いがあったらしい。
言葉の違いもさることなら、お辞儀一つとってもやり方が違う。食文化も違うのでマナーも違う。
身に羽織る衣装一つさえまるで違い、着替えにも苦労したのだ。
祖母は当時の姑である祖父母と、まだまだお元気な曾祖母二人に徹底的に貴族マナーを教え込まれたという。
それは時に厳しく……というものではなく、何もかも厳しく一度たりとも褒められたことなどなかった。それでも祖母は挫けなかった。
『全く違う生活習慣の中に飛び込んでいったのですもの。覚悟はしていたわ』
と、当時を振り返りながら祖母は物静かに話す。
覚悟をしていた祖母は、二人の厳しい教えに負けなかった。
結果、完璧に言語を覚え、マナーも覚え、国の貴族としての誇りも身につけた。
細い腰と背筋の伸びた美しい立ち振る舞いは当時の社交界で注目を浴び、時の人となった。
しかし、一重の細い瞳とそれに見合うような小さな瞳に、低い鼻は顔を扁平に見せ印象が薄かった。
クロエは遠い東国の血を引いていた。
祖母が留学でこの国に来て、祖父と恋に落ちたのだ。
国交を結んでいた国同士なので、結婚はすんなり決まったと聞いている。
問題はその後。
祖母の国とこの国の礼儀作法は、天と地ほどの違いがあったらしい。
言葉の違いもさることなら、お辞儀一つとってもやり方が違う。食文化も違うのでマナーも違う。
身に羽織る衣装一つさえまるで違い、着替えにも苦労したのだ。
祖母は当時の姑である祖父母と、まだまだお元気な曾祖母二人に徹底的に貴族マナーを教え込まれたという。
それは時に厳しく……というものではなく、何もかも厳しく一度たりとも褒められたことなどなかった。それでも祖母は挫けなかった。
『全く違う生活習慣の中に飛び込んでいったのですもの。覚悟はしていたわ』
と、当時を振り返りながら祖母は物静かに話す。
覚悟をしていた祖母は、二人の厳しい教えに負けなかった。
結果、完璧に言語を覚え、マナーも覚え、国の貴族としての誇りも身につけた。
細い腰と背筋の伸びた美しい立ち振る舞いは当時の社交界で注目を浴び、時の人となった。


