「だってわたくし、クロエ様に散々作法について注意を受けたもの。だから『負けるものか』って思って最上級の作法を身につけたのよ。おかげでアロイス様に情けをかけてもらえるようになって、親しくなったわ」
「それはソレンヌ様の懸命に習う姿にアロイス様が心を打たれたからです。すべてソレンヌ様の地道な努力が実を結んだ結果ですわ」
そう、彼女は男爵令嬢として貴族の一員であったが、彼女の父親が金にあかせて爵位を買い取ったのだ。
だから学園入学時は目も当てられないとまではいかないが、なかなか酷いマナーだった。
(そういえばそこで注意をして、ソレンヌに懐かれたのが友としての始まりだったわね)
そう昔を懐かしみながら楚々と答えるクロエに、ソレンヌは面白くなさそうな顔をして扇を仰ぐ。
「……つまらない方ね。でもわたくしは王太子の婚約者になった。わたくしの勝ちだわ」
「『勝ち』……?」
「それはソレンヌ様の懸命に習う姿にアロイス様が心を打たれたからです。すべてソレンヌ様の地道な努力が実を結んだ結果ですわ」
そう、彼女は男爵令嬢として貴族の一員であったが、彼女の父親が金にあかせて爵位を買い取ったのだ。
だから学園入学時は目も当てられないとまではいかないが、なかなか酷いマナーだった。
(そういえばそこで注意をして、ソレンヌに懐かれたのが友としての始まりだったわね)
そう昔を懐かしみながら楚々と答えるクロエに、ソレンヌは面白くなさそうな顔をして扇を仰ぐ。
「……つまらない方ね。でもわたくしは王太子の婚約者になった。わたくしの勝ちだわ」
「『勝ち』……?」


