べそべそと泣きじゃくるメリーを見て私は慌てる。
 確かに「花の国」はメリーにとって天国みたいな場所だったのだろう。

「メリーにも食べられる美味しい草花がないか、リューに訊いてみるよ!」
「嫌です~! あの竜人族になんて絶対頼りたくありません~~」
「あー……じゃあ」

 と、そのときコンコンとドアがノックされローサ達が入ってきた。

「ローサ、丁度良かった!」
「え?」

 いきなり私に声をかけられ、ローサは目をぱちくりとさせた。



「メリー様のお口に合う美味しい草花、ですか」

 私の話を聞いたローサは、ソファに身を潜めこちらを涙目でじっと伺っているメリーを見ながら言った。

「そう。心当たりというか、誰か頼める人いないかな。妖精とか、草花に詳しい人?」
「草花に詳しいということでしたら、庭師がおりますが」
「庭師! その人にお願いできないかな」

 庭師なら間違いないだろう。
 目の端でメリーが興奮するように飛び跳ねるのが見えた。