「かしこまりました。……ですが、このお部屋の中でだけということでよろしいでしょうか。陛下やセレスト様に知れてしまうと、わたくしこの城を出て行かなくてはならなくなるかもしれません」
「え!? そ、そうなんだ……。わかった」

 私は頷く。
 それでも、この場だけでも気軽に話せる相手は欲しかった。

「では、コハル様。わたくしのことはローサとお呼びください」
「ローサ。これからよろしく!」

 少し照れながら笑うと、ローサも微笑んでくれた。

「コハル様は、本当に聖女の名に相応しいお優しい方なのですね」
「え?」
「正直を申しますと、コハル様のお世話係をお任せいただいたとき、喜びもありましたが、少し緊張もあったのです」
「え……?」

(緊張?)

「ですから、コハル様のお人柄に触れて今とても安堵しております。おそらく、ここにいる皆がそうですわ」

 他の子たちも恥ずかしそうに頷く。

「いやいや、私なんてほんと、そんな緊張されるような人間じゃないから! 向こうの世界じゃただの役立たずのOLだったし」

 ……それもクビになってしまったばかりだし。