「……私にも、何か出来ることはないでしょうか」
「何もない。コハルはこの城にいればいい」

 きっぱりと強い口調で返され思わずムっとしてしまう。

「でも、」
「確かに、コハルの聖女の力は魔力に有効だ。だから砂漠の国の連中もコハルに助けを求めに来たのだろうが」
「! なら私、」
「だが、コハルを砂漠の国へ行かせるつもりはない」
「……っ」

 またもぴしゃりと強く言われて拳を握り締める。
 ……ついこの間も、花の王国には行かせないと言われたばかりだ。

(確かに、7年前に私が魔王を封印出来たのは奇跡みたいなものだけど)

 そんな私を見て、リューが椅子から立ち上がりこちらにやって来る。
 困ったように見下ろされ、それをじっと見上げる。……若干、睨むようになってしまったかもしれない。

「そんな顔をしないでくれ。コハルの力を信じていないわけじゃない。ただ、心配なんだ。もしコハルに何かあったらと思うと、俺は……」

 そうして、そっと抱きしめられる。

「だから、俺から離れていかないでくれ」