(7年の間にすっかり大人になったんだなぁ)

 彼は王子様なのだから当然と言えば当然なのかもしれないけれど。
 なんだか少し寂しいような妙な気分で椅子に座り直すと、ふと横からの鋭い視線に気づいた。

(あ、まずい……)

 そちらをゆっくりと振り向けば、案の定リューが不機嫌極まりない顔をしていて慌てて説明する。

「以前、私が砂漠の国へ行ったときに彼には何かとお世話になったんです」
「そうだったか……」

 そしてリューはその不機嫌顔のままカネラ王子に話しかけた。

「それで。砂漠の国の第三王子自ら我が帝国に何用だ? ただ祝いの言葉を述べに来たわけではないのだろう?」

 あからさまに険のある言い方にひやりとする。
 しかしカネラ王子は表情を変えず、すっと頭を垂れた。

「はい。我が父、砂漠の王より、竜帝陛下と聖女様へお願い申し上げたいことがあり参りました」
「え?」

 思わず声が漏れてしまった。
 今、竜帝陛下と聖女様へ、と聞こえた。

(リューだけじゃなく、私にも……?)

 リューもそれに気付いたのだろう、眉をひそめる。
 そしてカネラ王子は顔を上げ、真剣な眼差しで告げた。

「我が国を助けて頂きたいのです」
「!?」