魔王は封印しただけでその存在が消えたわけではない。
 今もこの世界の『裏側』に配下の魔物たちと共に存在しているのだ。
 そのことを思い出して背筋がぞくりとした。

「コハル様は全ての王にお会いしているのでしたね」
「え? あ、はい。一応……魔王を封印するために王の力を分けてもらう必要があったので」

 ――そう。7年前、そのために私は全ての国を訪れた。襲い来る魔物たちを撃退しながら。
 聖女の力を授かったとはいえ、本当に良く生きていられたものだと思う。

 と、メリーが何かに気付いたように声を上げた。

「コハル様はその頃、妖精王様のことは知らなかったのではなかったですか?」
「うん、その時は王の代理って人が対応してくれたの」

 でも今思えば、エルから道中知らぬ間に力を分けてもらっていたのかもしれない。