思ったよりも簡単そうで、私もリューに倣って試し書きをしてみることにした。
 はじめ筆圧の加減が分からず太く滲んでしまったけれど、なんとかいけそうだ。
 平仮名と片仮名どちらにしようかちょっと迷って『コハル』と片仮名で書いていく。

「これで『コハル』です」

 両隣からリューとメリーがそれを興味深そうに覗き込んできた。
 するとセレストさんはその下にサラサラっと文字を書き足した。

「こちらの世界で『コハル』はこう書きます」

 6つの文字で綴られたそれを見て、日本語よりも英語に近いのかなと思った。

「コハルの世界の文字で俺の名はどう書くんだ?」
「え?」
「メリーも! メリーも書いてくださいコハル様!」
「う、うん」

 ふたりに言われて私はその下に『リュークレウス』『メリー』と続けて書いてみせた。

「これでリュークレウスか。なかなか格好良いじゃないか」
「そうですか?」
「メリーはなんだか可愛いのです!」

 ふたりが何やら喜んでくれている中、セレストさんが感心するように言った。

「コハル様の世界の文字は、こちらよりもおそらく数が多いのですね」
「世界というか、これは私の国の文字なんですが、世界の中でも多いと言われてます」

 日本語には平仮名、片仮名、更には漢字もあるのだ。