再びの異世界、可愛かった皇子様が俺様竜帝陛下になってめちゃくちゃ溺愛してきます。


「あ、でももし万一何かあったときには、あのブローチに呼びかけてみて。どこにいてもすぐに駆け付けるよ」

 あのブローチにそんな機能があったなんて。流石は妖精王といったところだろうか。
 そんな彼に私は笑顔を向ける。

「色々とありがとう、エル」

 あの頃のようにフランクにお礼を言うと、彼は目を瞬いてから嬉しそうに破顔した。

「うん、やっぱりコハルはそっちの方がいいな」
「私も、そう思った」
「あはは。竜帝くんによろしくね。――あ、式には呼ばれなくても参加するからって伝えておいて」
「う、うん」

 苦笑して頷く。

「じゃあね、コハル。また会えて嬉しかったよ」
「私も!」

 そうして彼は私から手を離した。
 その手をひらひらと振って、背を向けたかと思うとそのままスゥっと消えていってしまって。
 私は小さく振り返していた手を下ろし、一息ついた、途端だった。

「コハルさまぁーーーー!?」
「ぅぐっ」

 後ろからそんな大声が聞こえてきて振り返れば丁度メリーが私の胸の中にぼすんっと飛び込んできた。
 その勢いに流石にちょっとだけむせて。