(あのとき、本当は褒められて嬉しかったんだよね)

 彼に手を引かれてお城へと飛んでいる最中、私はそんな昔のことを思い出していた。
 あのとき、彼が居てくれて本当に心強かった。
 道案内をしてくれたこともだけれど、話し相手が出来たことが何より嬉しかったのだ。

「7年前、なんで私を助けてくれたんですか?」

 ずっと気になっていたことを訊くと、彼はこちらを振り返った。

「ん? あぁ。異世界から来たっていう『聖女』に興味があったんだよね。どんな子なんだろうって」
「はぁ」
「そしたらコハルが想像以上に面白かったから」

 にっこりと言われて思わず顔が引きつってしまった。

「面白かったって……」
「だから助けてあげたいって思ったし、今だって僕はいつでもコハルの助けになりたいって思ってるよ」
「それは……ありがとうございます」

 今、彼のお蔭でリューとの間が大変なことになっているのだけど。
 そう突っ込みたい気持ちをなんとか抑える。

(エルは心配してくれたんだもんね)