7年ぶりに歩く『竜の都』は、あの頃とは全く別の街のようだった。
 とにかく人の往来が多く、活気があった。
 市も開かれていて、新鮮そうな野菜や果物がたくさん売られていた。
 7年の間にここまで復興したのだと思うとなんだか胸が熱くなった。
 
(きっと皆すごく頑張ったんだろうなぁ)

 でもやはりベルデさんの言っていた通り、あちこちにあの頃の名残が見られた。
 建物も良く見れば大きなヒビが入っていたり焼け焦げた痕が残っていたり。ふと路地を覗けば、崩れたままになっている建物が目に入った。

「自信がないって言っていたのは、竜帝妃のことかい?」
「え?」

 唐突に訊かれて私は目を瞬く。

(――あ、そうか。バルコニーで……)

 そんなぼやきも聞かれていたのかと恥ずかしくなる。でも。

「……はい」

 諦めて正直に頷く。

「だって、向こうじゃただのOLだったんですよ。しかも役立たずの……。もっと竜帝妃に相応しい人がいるんじゃないかって、どうしても考えちゃって」

 するとエルがクスクスと笑った。

「ほんと相変わらずだなぁ、コハルは。まぁ、コハルのそういうところが僕も気に入ったんだけど」
「茶化さないでください」
「茶化してなんかいないよ。じゃあ、コハルは竜帝くんのどこに惹かれたんだい?」
「え……」

 どきりとする。