レオンハルトは仕事で疲弊していた。
 ここ連日徹夜続きの日々で、自宅での作業がほとんどとはいうものの、もう文字を見ることすら嫌になるほどであった。

「ああ……コルネリアに会いたい……」

 彼が思わずこう呟くのも無理はなかった。
 徹夜続きの日々は非常に過酷であり、いつもであればダイニングでコルネリアと二人で食事をとるところを一人で執務室で毎日毎食とっていた。
 コルネリアが今日はどういうことで楽しんだ、孤児院の子供たちと遊んだ話、テレーゼと庭の手入れをした話など。
 最近はよく話して感情を露わにしてくれる彼女の様子を楽しみにダイニングに向かっていたのに、今はそれを楽しむこともできない。
 ヴァイス邸の料理長が腕ふるって用意してくれる料理は、毎日、毎食それはそれは美味しいのだが、徹夜で一人で食べていると、なんと味気のないことか……。

「はあ……」

 大きなため息が部屋中にこだましたところで、突然執務室のドアがノックされた。

「はい、どうぞ」