「なんの、種ですか…?」

「わかんない!」

眩しいくらいの笑顔で即答された答えに、
琴子は少しだけ、ドキドキとした記憶がある。

何かの種だと思うけど、
なんの種かは琴子が見ても分からなかった。

そんな得体の知れないものを、
琴子は宮瀬くんから受け取って

「じゃあ、ここに植えときますね」

と、花壇の隅っこに植えたのだ。

「ありがとな。友達出来て良かったなー」

宮瀬くんはまだ土を被せたばかりの
何も無い土に向かって微笑んだ。

宮瀬くんと話したのは、
この時が初めてだった。